職場で信頼される 質問への適切な対応の基本
職場で円滑な人間関係を築き、信頼されるためには、自分が質問をするだけでなく、相手からの質問に適切に対応することも非常に重要です。特に若手社員のうちは、様々な立場の方から多様な質問を受ける機会が増えてきます。質問への対応は、相手の疑問を解消するだけでなく、あなたの仕事の正確性や、相手への配慮を示す機会でもあります。
このコラムでは、職場で質問へ適切に対応するための基本的な考え方と、具体的な実践方法についてご紹介します。
なぜ質問への適切な対応が重要なのか
質問への対応は、単に「答えを教える」行為に留まりません。そこには、相手との信頼関係を構築し、チーム全体の生産性を向上させるための重要な要素が含まれています。
- 信頼関係の構築: 迅速かつ的確な対応は、相手に「この人に聞けば大丈夫だ」「丁寧に教えてくれる」という安心感を与え、信頼につながります。反対に、曖昧な回答や無関心な態度は、不信感を生む原因となります。
- 業務の円滑化: 相手の疑問がすぐに解消されれば、その人の作業が滞りなく進みます。結果として、チーム全体の業務効率が向上します。
- 自身の理解度の確認: 質問に答える過程で、自分自身の知識や理解が曖昧な部分に気づくことがあります。これは自己学習の機会にもなります。
- 問題の早期発見: 質問の背景にある意図や課題を深く理解することで、潜在的な問題の早期発見につながることもあります。
特に、技術的なスキルを持つ方が非技術職の方から質問を受けるような場面では、専門知識をいかに相手に分かりやすく伝えるかが、その後の連携の質を大きく左右します。
質問を受けた際の基本的なステップ
質問を受けたら、まずは以下の基本的なステップで対応を進めることをおすすめします。
- 質問を真摯に聞き、内容を理解する:
- 相手が話しやすい姿勢で耳を傾けます。他の作業を中断し、質問に集中することが望ましいです。
- 質問の背景にある目的や、相手が何に困っているのかを理解しようと努めます。「〇〇について、〜という状況で困っている、ということでしょうか?」のように、必要に応じて内容を復唱したり、確認したりすることも有効です。
- 特に専門的な内容の場合、相手が使っている言葉が専門用語として正しいか、一般的な意味で使っているかなどを確認します。
- すぐに回答できるか判断する:
- その場で即座に、正確な情報に基づき回答できるか判断します。
- もしすぐに回答できない場合(情報確認が必要、他の人に聞く必要があるなど)は、その旨を正直に伝えます。
- 回答する、または対応方針を伝える:
- すぐに回答できる場合:
- 結論から先に伝えることを意識します。特に忙しい相手への配慮として有効です。
- 専門用語は避け、相手の理解度に合わせた平易な言葉で説明します。必要であれば具体例を交えます。
- 説明が長くなりそうな場合は、「ポイントは3つあります。1つ目は〜」のように、構造立てて話すと分かりやすくなります。
- すぐに回答できない場合:
- 「申し訳ございません、すぐに正確な情報をお伝えできません。確認して〇時までにご連絡してもよろしいでしょうか?」のように、回答できない理由と、いつまでにどう対応するか(いつまでに誰に確認して回答するかなど)を具体的に伝えます。
- 確認が必要な場合は、どのような情報を確認するのかを相手に伝えることで、安心感を与えることができます。
- すぐに回答できる場合:
- 相手が理解したか確認する:
- 一方的に説明するだけでなく、「ここまででご不明な点はありますか?」「ご理解いただけましたでしょうか?」のように、相手が内容を理解したか確認します。
- 特に複雑な内容や、相手にとって初めて聞く内容の場合は、丁寧に確認を挟むことが重要です。
- 感謝を伝える:
- 最後に、「ご質問いただきありがとうございます」「何かあればまたいつでも聞いてください」のように、質問してくれたことへの感謝を伝えることで、相手は次に質問しやすくなります。
ITツールを使ったコミュニケーションでの注意点
チャットツールやオンライン会議システムなど、ITツールを通じたコミュニケーションが増えています。これらのツールでの質問対応には、特有の注意点があります。
- チャットでの質問:
- 通知に気づいたら、まずは「承知いたしました」「確認します」のような一次応答を早く返すことで、相手を待たせない配慮ができます。
- 詳細な説明が必要な場合は、メッセージが長くなりすぎないよう、要点を絞るか、別途口頭やオンライン会議での説明を提案することも検討します。
- 図やスクリーンショットなどを活用すると、視覚的に分かりやすくなります。
- 回答が遅れる場合は、いつ頃回答できそうかを伝えることで、相手の不安を軽減できます。
- オンライン会議中の質問:
- 会議の流れや時間を確認し、その場で回答すべきか、会議後に別途対応すべきか判断します。
- チャット欄が使える場合は、補足情報や関連リンクを貼るなど、視覚的なサポートを検討します。
- 画面共有を活用して、実際の画面を見せながら説明すると、理解を深められます。
まとめ
質問への適切な対応は、職場で信頼されるために不可欠なスキルです。質問を成長の機会と捉え、真摯に耳を傾け、相手の立場に立って分かりやすく伝える努力を続けることで、周囲からの信頼は徐々に高まっていきます。すぐに全てを完璧にこなす必要はありませんが、今回ご紹介した基本的なステップや考え方を意識して日々のコミュニケーションに取り組んでみてください。小さな積み重ねが、良好な人間関係の構築につながるはずです。