職場で信頼される 非同期コミュニケーションの効果的な使い方
現代の多くの職場では、チャットツールやメール、ドキュメント共有ツールなど、非同期でコミュニケーションを取る機会が増えています。特にリモートワークや分散したチームでは、非同期コミュニケーションは業務遂行に欠かせない手段です。
しかし、非同期コミュニケーションは対面と異なり、相手の表情が見えなかったり、すぐに反応がなかったりするため、使い方を間違えると誤解を生んだり、かえって効率を損ねたりする可能性もあります。
本記事では、新入社員や若手社員の皆様が、職場で信頼されるために知っておくべき非同期コミュニケーションの基本的な考え方と、すぐに実践できる具体的な使い方について解説します。
非同期コミュニケーションとは何か
非同期コミュニケーションとは、送り手と受け手が同時に応答する必要がないコミュニケーション形式のことです。例えば、以下のようなものが挙げられます。
- メール
- チャットツール(Slack, Teamsなど)でのメッセージ(特にスレッド形式や、すぐに返信を求めない場合)
- プロジェクト管理ツールやタスク管理ツールのコメント機能
- 共有ドキュメントへのコメントや編集履歴
- 掲示板や社内Wikiへの書き込み
これに対し、会議や電話、対面での会話などは、送り手と受け手が同時に存在し、リアルタイムでやり取りを行う「同期コミュニケーション」と呼ばれます。
なぜ非同期コミュニケーションが職場で重要なのか
非同期コミュニケーションには、同期コミュニケーションにはない多くの利点があります。これらを理解することが、効果的な使い方につながります。
- 時間を有効活用できる: 相手の都合の良いタイミングで確認・返信できるため、お互いの時間を拘束しません。自分の作業に集中したい時に邪魔されにくいです。
- 記録が残る: やり取りの内容がテキストとして残るため、後から見返すことができ、言った言わないのトラブルを防ぎやすいです。これは、仕様の確認や決定事項の共有において特に重要です。
- じっくり考えてから応答できる: その場で即答する必要がないため、内容をよく吟味し、正確な情報を整理してから返信できます。
- 情報を整理して伝えやすい: 伝えたい内容を事前に整理し、構造化(箇条書きや見出しなど)して記述することで、相手に分かりやすく情報を伝えることができます。
- 複数人への情報共有が容易: 関係者全員に一度に同じ情報を確実に伝えることができます。
信頼されるための非同期コミュニケーションの効果的な使い方
非同期コミュニケーションの利点を最大限に活かし、職場の同僚や上司からの信頼を得るためには、いくつかのポイントがあります。
1. 目的を明確にする
非同期で伝える際は、「なぜこのメッセージを送っているのか」「相手に何をしてほしいのか」をメッセージの冒頭や件名などで明確に示しましょう。
- 悪い例: 「〇〇の件ですが、確認お願いします」
- 良い例: 「【〇〇機能に関する確認のお願い】〜の仕様についてご相談させてください」
- 具体的に何について、何を目的としているか(確認、相談、承認など)を最初に示すことで、受け手はメッセージの重要度や対応内容をすぐに把握できます。
2. 必要な情報を整理して含める
相手がメッセージの内容を理解し、必要な対応(返信、確認、作業など)を行うために必要な情報は、メッセージの中に含めるようにしましょう。
- 具体的に: どの件についてか、いつの会議での決定か、どのドキュメントを参照してほしいか、現在の状況はどうなっているかなど。
- 補足情報: 関連するURL、ファイル、過去のやり取りの引用などを添えると、受け手が追加で情報を探す手間が省けます。
- 情報の構造化: 長文になる場合は、箇条書きや段落分け、見出しなどを活用し、視覚的にも分かりやすく整理しましょう。
3. 返信の期待値を伝える、または確認する
非同期コミュニケーションでは、相手がいつメッセージを読むか、いつ返信できるかが分かりません。「急ぎの用件なのか」「いつまでに返信が欲しいのか」を明確に伝えましょう。
- 例1: 「本件、〇〇様のご都合の良い時で構いませんので、明日午前中までにご確認いただけますと幸いです。」
- 例2: 「お忙しいところ恐縮ですが、本件、〇〇日〇時までにご回答いただけますでしょうか。難しい場合は、その旨ご連絡いただけますと助かります。」
相手に返信の期日を伝えるだけでなく、自分がメッセージを受け取った際も、「承知いたしました。〇〇日中に返信いたします」のように、いつ頃対応できるかの目安を伝えることで、相手は安心して待つことができます。
4. 短くても良いので反応する
メッセージを受け取ったことに気づいている、という意思表示は重要です。特にすぐに詳細な返信ができない場合でも、「確認しました」「後ほど改めて詳細を返信します」「ありがとうございます」といった短い反応をするだけでも、相手は「届いているな」「無視されているわけではないな」と安心できます。いわゆる「既読スルー」を防ぐ意識を持ちましょう。
5. 丁寧かつ正確な言葉遣いを心がける
顔が見えない非同期コミュニケーションでは、言葉遣いが非常に重要になります。意図しない冷たい印象を与えたり、誤解を生んだりしないよう、丁寧で正確な表現を心がけましょう。
- 指示や依頼をする際は、「〜してください」だけでなく、「〜いただけますでしょうか」「〜していただけると助かります」といった依頼形の表現を使う。
- 否定的な内容や訂正をする際は、クッション言葉を入れる(例:「恐れ入りますが」「差し出がましいようですが」)。
- あいまいな表現は避け、具体的な言葉を選ぶ。
6. 適切なツールやチャンネルを利用する
使用しているツール(チャット、メール、タスク管理など)や、チーム内のチャンネル(プロジェクト別、話題別など)には、それぞれ適した用途があります。発信する情報の内容や緊急度に応じて、適切な場所でコミュニケーションを取りましょう。これにより、情報が散逸するのを防ぎ、必要な人に情報が届きやすくなります。
7. 絵文字やスタンプの使用は慎重に
チャットツールでは絵文字やスタンプが手軽に使えますが、ビジネスシーン、特に目上の方や社外の方とのやり取りでは、相手や文脈を考慮して慎重に使用しましょう。親しみを込めるために使う場合でも、過度な使用は避け、基本的なメッセージ本文で意図が伝わるように記述することが基本です。
まとめ
非同期コミュニケーションは、現代のビジネス環境において効率的な情報伝達と記録のために不可欠な手段です。その「使い方」を少し意識するだけで、誤解を防ぎ、スムーズな連携を実現し、結果として職場の同僚や上司からの信頼を積み重ねることができます。
今回ご紹介したポイントは、どれも今日からすぐに実践できる基本的なことばかりです。目的を明確にすること、情報を整理すること、返信の期待値を伝えること、短い反応をすること、丁寧な言葉遣いをすることなどを日々の非同期コミュニケーションで心がけてみてください。これらの積み重ねが、きっとあなたの信頼構築につながるはずです。