職場の良い関係づくり入門

職場で信頼される報連相(報告・連絡・相談)の基本

Tags: 報連相, コミュニケーション, ビジネスマナー, 信頼関係, 新人育成

職場で良い人間関係を築き、スムーズに仕事を進める上で、「報連相(報告・連絡・相談)」は非常に基本的ながら最も重要なスキルの一つです。特に新入社員や若手社員にとって、適切な報連相は周囲からの信頼を得るための土台となります。

この章では、なぜ報連相が重要なのか、そしてそれぞれの基本的なポイントについて解説します。

なぜ報連相が重要なのか

報連相は、単に業務の進捗を伝えるだけでなく、以下のような多くの目的と効果があります。

特にリモートワーク環境や、チャットツールを主に使用する職場では、意図的に報連相を行う意識がより一層重要になります。テキストベースでのやり取りが中心となるため、簡潔かつ正確に伝える技術が求められます。

報告の基本ポイント

「報告」は、上司や関係者に、指示された業務の進捗や結果、または発生した事実を伝えることです。

1. 要点から先に伝える

忙しい相手に配慮し、結論や最も重要な情報から先に伝えます。「〇〇の件についてご報告です。結論としては、〜〜となりました。」のように始めると、相手はすぐに内容を把握できます。その後に詳細や経緯を補足しましょう。

2. 事実と意見を分ける

報告内容のうち、「実際に起きたこと(事実)」と「それに対する自分の考えや推測(意見)」を明確に区別して伝えましょう。これにより、相手は状況を正確に理解し、適切な判断や指示を出しやすくなります。

3. タイミングを見極める

4. チャットでの報告

チャットで報告する場合、長文になりすぎないよう注意が必要です。

連絡の基本ポイント

「連絡」は、関係者全員に知っておいてほしい情報を伝えることです。情報共有が目的であり、必ずしも指示を仰ぐためではありません。

1. 必要な人に、正確かつ迅速に伝える

会議の開始時間変更、共有ファイルの場所、担当者の変更など、関係者全員が知るべき情報を、正確な内容で速やかに伝えます。誰に伝えるべきかを事前に確認しておくことが重要です。

2. 伝達手段を適切に選ぶ

情報の緊急度や重要度に応じて、連絡手段を使い分けます。

3. 連絡を受けた側のリアクションを確認する

チャットでの連絡の場合、「読みました」「承知いたしました」といった簡単なリアクションがあると、情報が伝わったことを確認でき、相手も安心します。相手がリアクションしやすいよう、連絡の最後に「ご確認をお願いいたします」「了解のスタンプをお願いします」のように添えることも有効です。

相談の基本ポイント

「相談」は、自分一人では判断に迷うことや、解決できない問題について、上司や先輩に意見やアドバイスを求めることです。

1. 自分で考えてから相談する

丸投げではなく、「〜という状況で、〜〜を試しましたがうまくいきませんでした。△△ではないかと考えているのですが、いかがでしょうか?」のように、現状、課題、自分なりの仮説や試したこと、そして具体的に何についてアドバイスがほしいのかを明確にして相談しましょう。これにより、相手も具体的なアドバイスをしやすくなります。

2. 相談のタイミングと相手を選ぶ

相手が忙しそうなときに一方的に話しかけるのは避けましょう。まずは「〇〇の件で少々ご相談できますでしょうか。お時間〇分ほどいただけますと幸いです。」のように、相手の状況を伺うクッション言葉を挟むのが丁寧です。誰に相談すべきか分からない場合は、まず直属の上司に相談するのが基本です。

3. 具体的な情報を準備する

相談内容に関連する資料(仕様書、エラーログ、画面キャプチャ、作成中のドキュメントなど)があれば、事前に準備しておくと、スムーズに相談できます。オンライン会議での相談であれば、画面共有を活用するのも有効です。

4. 非技術職への相談例

ITエンジニアなどが非技術職の方に技術的な内容を含む件で相談する場合、専門用語を避け、相手が理解できる言葉で説明する工夫が必要です。「この機能の実装にあたり、データベースの構造を一部変更する必要があるのですが、影響範囲が広いため、現状のまま進めるか、改修するかで迷っています。〇〇さんの視点から、ユーザーへの影響や運用面の懸念についてアドバイスいただけますでしょうか?」のように、相手の役割や関心事に合わせて具体的に問いかけると良いでしょう。

報連相を習慣にする

報連相は、最初から完璧にできるものではありません。日々の業務の中で意識し、実践を重ねることで徐々に身についていきます。

報連相は、職場の人間関係を円滑にし、信頼されるビジネスパーソンになるための基礎中の基礎です。日々の業務の中で積極的に実践し、周囲との良好なコミュニケーションを築いていきましょう。