職場で信頼される 表情や態度の基本
職場で良い人間関係を築き、信頼を得るためには、言葉によるコミュニケーションはもちろん重要です。しかし、それと同じくらい、あるいは状況によってはそれ以上に重要なのが、言葉以外の要素、つまり「非言語コミュニケーション」です。中でも、表情と態度は、相手に与える印象や信頼感に大きく影響します。
特に、技術職の方はロジックや情報の正確性を重視する傾向がありますが、ビジネスの場では、言葉だけでなく、どのように伝わったか、相手がどう感じたかも、円滑な連携において非常に大切になります。このコラムでは、職場で信頼されるための表情や態度の基本的な考え方と実践方法について解説します。
なぜ表情や態度が信頼に関わるのか
私たちは、相手の言葉を聞くだけでなく、その時の表情や声のトーン、姿勢、視線といった非言語的な情報からも多くのことを読み取っています。これらの情報は、言葉の真意を補完したり、話し手の感情や意図を伝えたりする役割を果たします。
例えば、どんなに丁寧な言葉で説明されても、無表情であったり、上の空のような態度であったりすれば、相手は「本当に理解しているのかな」「関心がないのかな」と感じてしまうかもしれません。逆に、少し難しい話でも、真剣な表情でうなずきながら聞いてくれる相手には、話し手は安心感を覚え、「この人は真剣に受け止めてくれている」と感じ、信頼を寄せやすくなります。
特に、リモートワークが進み、オンラインでのコミュニケーションが増えた現代では、画面越しに伝わる表情や態度は、対面以上に意識すべき重要な要素となっています。
職場で信頼される「表情」の基本
良い表情を心がけることは、相手にポジティブな印象を与え、話しかけやすい雰囲気を作ります。
基本の表情
- 挨拶や簡単な会話の際の「穏やかな表情」: 口角を少し上げる程度でも、硬い表情よりも親しみやすさが増します。過剰な笑顔は不自然に映ることもありますが、自然な穏やかさは安心感を与えます。
- 真剣な話を聞く際の「真剣な表情」: 難しい話や重要な指示を聞く際は、しっかりと目を見て、真剣な表情で聞いていることを示しましょう。これは、内容に対する関心と、真摯に受け止めている姿勢を示すことになります。
- 困っている時や不明点を伝える際の「正直な表情」: 分からないことを正直に伝える際も、困惑した表情を少し見せることで、「本当に理解しようとしているのだな」という誠実さが伝わります。隠そうとして曖昧な態度をとるより、信頼につながります。
オンラインでの表情
オンライン会議では、対面よりも表情が伝わりにくくなることがあります。カメラの位置を意識し、顔が明るく映るように調整したり、対面時よりも少しだけ意識して表情を分かりやすく示したりする工夫が有効です。例えば、理解した際はうなずきと共に少し笑顔を添える、難しい点は眉間に少し皺を寄せるなど、意図が伝わりやすいように表現することを心がけてみてください。
職場で信頼される「態度・姿勢」の基本
態度や姿勢は、相手への敬意や、その場への関与度を示します。
聴く時の態度
- 相手の方を向く: 話している人の方に体を向け、しっかりと向き合う姿勢は、「あなたの話を真剣に聞いています」というメッセージになります。
- うなずきや相槌: 適度なうなずきや相槌は、相手に「話を聞いて理解しようとしている」ことを示します。これは会話のリズムを作り、話し手に安心感を与えます。ただし、過剰なうなずきは話を急かしているように見えたり、本当に理解しているか疑われたりすることもあるため、自然な頻度を心がけてください。
- 視線: 話し手の目を見ることは、関心と敬意を示す基本的な態度です。ただし、ずっと見つめすぎると威圧感を与えることもあるため、時折視線を外すなど自然なアイコンタクトを心がけましょう。オンラインでは、カメラを見ることで相手に目線を合わせているように見えます。
話す時の態度
- 落ち着いた姿勢: ドタバタしたり、ソワソワしたりせず、落ち着いた姿勢で話すことで、内容に説得力が増し、信頼感を与えます。
- 適切なジェスチャー: 自然な身振り手振りは、話に抑揚をつけ、内容を分かりやすくする助けになります。ただし、大きすぎるジェスチャーや、落ち着きのない動きは、自信がないように見えたり、聞き手の集中を妨げたりすることがあります。
- 声のトーンと速さ: 内容に合わせて声のトーンや話す速さを調整することも重要です。重要な点はゆっくり丁寧に、明るい話題は少しトーンを上げて話すなど、意識することで感情や意図が伝わりやすくなります。
日常的な態度
- デスクでの姿勢: ダラダラした姿勢は、仕事への意欲が低いように見られる可能性があります。適度に背筋を伸ばし、集中している姿勢は、周囲に安心感を与えます。また、話しかけられた際に、作業を一旦止めて相手の方を向くといった態度も大切です。
- 会議室や共有スペースでの振る舞い: 他の人が近くにいる場所での話し方や態度は、周囲への配慮を示します。大声で話したり、不必要に騒がしい態度は控えることが、円滑な人間関係を保つ上で重要です。
実践のためのヒント
表情や態度は、意識的に練習することで改善できます。
- セルフモニタリング: 自分の表情や態度が、他者からどう見えているかを意識してみましょう。オンライン会議で自分の映りを確認したり、可能であれば録音・録画して後から見返したりすることも有効です。
- 相手の観察: 上司や同僚など、信頼されている人の表情や態度を観察してみましょう。彼らがどのような非言語サインを使っているのか、学ぶべき点があるかもしれません。
- 状況に応じた使い分け: 会議、1対1の会話、チャット、休憩時間など、状況によって適切な表情や態度は異なります。その場にふさわしい振る舞いを意識的に使い分けてみてください。
- 非技術職とのコミュニケーション: 特に異なる専門性を持つ相手に対しては、言葉だけでなく、興味や理解を示そうとする表情や態度が、関係構築の大きな助けとなります。分からないことを尋ねる際も、「教えていただいてありがとうございます」という感謝の気持ちを表情や声のトーンに乗せることが大切です。
まとめ
職場で信頼されるためには、言葉の内容だけでなく、表情や態度といった非言語的な要素が非常に大きな役割を果たします。これらは、あなたの誠実さ、関心、そしてプロフェッショナリズムを示す強力なツールです。
今日から、挨拶の際の穏やかな表情、真剣な話を聞く時の真摯な態度、そしてオンラインでの表情や姿勢を少しだけ意識してみてください。これらの小さな変化が、職場の人間関係をより良好にし、あなたへの信頼を築く一歩となるはずです。