職場で信頼される 会議後のフォローアップの基本
会議は参加して終わりではない
職場の会議は、単に情報共有や議論をする場ではありません。多くの場合、会議の目的は何かを決定したり、次のアクションを明確にしたりすることにあります。そして、その会議で決まったことを実行に移し、関係者と認識を合わせていくプロセスが非常に重要になります。
会議に参加することに加え、会議後のフォローアップを丁寧に行うことは、あなたの信頼性を高め、チーム全体の連携を円滑にするために不可欠な要素です。本記事では、職場で信頼されるための会議後フォローアップの基本について解説します。
なぜ会議後のフォローアップが重要なのか
会議後のフォローアップがなぜそれほど重要なのでしょうか。主な理由をいくつか挙げます。
- 決定事項の実行を確実にする: 会議で「〇〇をやる」と決まっても、誰が、いつまでに、具体的に何をするかが明確になっていなければ、実行に移されずに終わってしまうことがあります。フォローアップによって、決定事項がタスクとして適切に管理され、実行される流れを作ります。
- 関係者との認識のズレを防ぐ: 会議の内容や決定事項について、参加者間で微妙に認識が異なることは珍しくありません。議事録の確認や共有、個別の簡単な確認を行うことで、認識のズレを早期に発見し修正できます。
- 次のアクションを明確にする: 会議での決定に基づき、次に何をすべきかが明確になります。これにより、参加者は迷うことなく次の行動に移ることができ、プロジェクトや業務の推進が滞りません。
- 責任感を果たす: 自分が担当するアクションアイテムについて、期日内に完了させ、その結果を報告することは、プロフェッショナルとしての責任感を果たすことにつながります。これは、周囲からの信頼を得る上で非常に重要です。
- 会議の効果を最大化する: 会議は時間とコストのかかる活動です。会議で決まったことが実行されて初めて、その会議は価値を生み出したと言えます。フォローアップは、会議の投資対効果を高めるために必要なプロセスです。
会議後の具体的なフォローアップステップ
会議後、具体的にどのような行動をとるべきか、いくつかのステップに分けて説明します。
ステップ1:議事録を確認・補足する
多くの職場で議事録が作成されます。議事録は会議の決定事項、議論の要点、アクションアイテムを記録した重要なドキュメントです。
- 迅速に確認する: 議事録が共有されたら、可能な限り早く内容を確認します。自分の認識と合っているか、アクションアイテムの担当や期日は正確かなどをチェックします。
- 必要に応じて補足や修正を提案する: もし内容に誤りがあったり、重要な点が漏れていたりした場合は、議事録の作成者や関係者に速やかに連絡し、補足や修正を提案します。この際、「〇〇は△△と理解したのですが、合っていますでしょうか?」「××についても議論したかと思うのですが、追記いただけますと幸いです」のように、確認や提案の形で伝えることが丁寧です。
- アクションアイテムを把握する: 自分が担当するアクションアイテムはもちろん、関係者のアクションアイテムも把握しておくと、その後の連携がスムーズになります。
ステップ2:自分のアクションアイテムを管理ツールに登録する
議事録で確認した自分のアクションアイテムは、見落とさないように普段使用しているタスク管理ツール(Jira, Trello, Asanaなど)や個人のタスクリストに登録します。
- 具体的なタスクとして分解する: アクションアイテムが抽象的な場合は、「〇〇について調査する(期日:△/△)」のように、より具体的なタスクに分解します。
- 期日を設定する: 議事録に期日が明記されている場合はその期日を、そうでない場合は関係者と相談して期日を設定し、タスクに紐付けます。
- 必要な情報を紐付ける: 会議資料、関連するチャットログ、参考になる過去のドキュメントなど、タスク遂行に必要な情報をタスクに紐付けておくと、後で見返す際に便利です。
ステップ3:関係者への情報共有や簡単な確認を行う
会議の参加者全員が同じように議事録を確認するとは限りません。また、会議で出た細かな決定事項や次のステップについて、改めて関係者に確認したり、念押しで共有したりすることが有効な場合があります。
- チャットやメールで簡単な共有を行う: 例えば、「本日の会議で〇〇の件、Aさんが担当、期日△/△と決まりました。よろしくお願いいたします。」のように、関係者が自分に関わるアクションアイテムを再確認できるよう、チャットツールなどで簡潔に共有します。
- 不明点を個別に確認する: 会議中に十分に確認できなかった点や、議事録を見ても曖昧に感じる点があれば、担当者や詳しい人に個別に確認します。例えば、「先ほどの会議でご説明いただいた△△の件ですが、具体的にどのような手順で進めれば良いか、改めて少しお伺いしてもよろしいでしょうか?」のように、丁寧な言葉遣いを心がけます。
ステップ4:アクションアイテムの進捗を報告する
担当したアクションアイテムを進め、期日までに完了させることが信頼に繋がります。
- 期日を意識して作業を進める: 設定した期日を常に意識し、計画的に作業を進めます。
- 進捗状況を適宜報告する: 特に進捗に遅れが生じそうな場合や、作業を進める上で問題が発生した場合は、早めに関係者(上司、チームリーダー、連携しているメンバーなど)に報告・相談します。報告の基本である「報連相」を意識してください。
- 完了したら完了報告をする: タスクが完了したら、関係者に完了した旨を報告します。必要に応じて、完了した成果物(資料、コード、調査結果など)を共有します。
フォローアップを効率的に行うためのツール活用
ITエンジニアやクリエイターの職場では、様々なツールが活用されています。これらのツールをうまく使うことで、フォローアップを効率的に行うことができます。
- チャットツール: 会議の直後に簡単な確認や決定事項の共有を行うのに便利です。「先ほどの会議で〇〇についてAさんが担当することになりましたね。認識合っていますか?」のように、手軽にやり取りできます。特定の話題に関するやり取りをまとめておけるチャンネルやスレッド機能を活用すると、情報が整理されます。
- タスク管理ツール: 会議のアクションアイテムをタスクとして登録し、期日や担当者を明確にするために不可欠です。進捗状況も共有しやすく、チーム全体のタスク状況を可視化できます。
- ドキュメント共有ツール: 議事録だけでなく、会議の決定に関連する資料や調査結果などを一元管理・共有するのに役立ちます(例: Confluence, Google Drive, Notionなど)。
- カレンダーツール: 会議の予定だけでなく、アクションアイテムの期日などをカレンダーに登録しておくと、抜け漏れを防ぐのに役立ちます。
よくある課題とその対策
会議後のフォローアップでつまずきやすいポイントと、その対策を考えてみましょう。
- 課題1:議事録が共有されない/作成されない
- 対策:自分が簡単なメモを取り、会議後に「本日の会議の決定事項として、〇〇と△△、アクションアイテムとしてAさんがBを、CさんがDを期日までに担当することになったかと理解しております。もし誤りがあればご指摘ください。」のように、参加者に確認する形で共有してみる。チーム内で議事録の重要性を改めて話し合い、作成ルールを決めることを提案する。
- 課題2:誰が何を担当するかが不明確
- 対策:会議中に「この件は誰が担当しますか?」と確認する。会議後、議事録やチャットでの共有時に、担当者と期日を明確に記載・確認する。
- 課題3:アクションアイテムの実行を忘れてしまう
- 対策:アクションアイテムを必ずタスク管理ツールやリマインダーに登録し、定期的に確認する習慣をつける。期日前にリマインダーを設定する。
- 課題4:進捗報告のタイミングが分からない
- 対策:チームやプロジェクトで定例の進捗報告会があればそこで報告する。特に定められていない場合は、期日の中間地点や、何か問題が発生したタイミングで、関係者に個別に状況を共有する。
まとめ:フォローアップを習慣化し、信頼関係を築く
会議後のフォローアップは、会議の効果を確実なものにし、チーム内の連携を強化するために非常に重要です。議事録の確認から始まり、自分のアクションアイテムの確実な実行、そして関係者とのこまめな情報共有と確認を行うことで、あなたは「会議で決まったことをきちんと実行する信頼できる人」という評価を得られるでしょう。
最初は面倒に感じるかもしれませんが、これらのステップを習慣化することで、抜け漏れや認識のズレが減り、結果として仕事がスムーズに進むようになります。ぜひ今日から、会議後のフォローアップを意識して取り組んでみてください。