職場で信頼される タスク管理を通じた連携の基本
職場で信頼される タスク管理を通じた連携の基本
新入社員や若手社員の皆さんにとって、職場で信頼されることはキャリアを築く上で非常に重要です。信頼を得るための行動の一つに、「タスク管理」があります。単に自分の仕事を整理するだけでなく、チームや関係者との連携ツールとして活用することで、周囲からの信頼を高めることができるのです。
このコラムでは、タスク管理がなぜ職場の人間関係構築に役立つのか、そしてタスク管理をどのように連携に活かせばよいのかを解説します。
なぜタスク管理が職場の信頼につながるのか
タスク管理は、自分のやるべきことを明確にするための個人的なスキルと思われがちです。しかし、職場においては、自分のタスクを管理し、それを周囲と適切に共有・連携することが、以下のような点で信頼獲得につながります。
- 透明性の向上: 自分が何に取り組んでいるか、どのくらいの進捗なのかが明確になることで、周囲はあなたの状況を把握しやすくなります。これにより、「あの人は今、何をしているのだろう?」といった不安を減らし、安心感を与えることができます。
- 期待値の調整: タスクの完了予定日や必要なリソースを共有することで、周囲の期待値を適切に調整できます。もし遅延が発生しそうな場合でも、早期に共有することで大きな問題になることを防ぎ、「報告・連絡・相談(報連相)」ができているという評価につながります。
- 連携のスムーズ化: 自分のタスクの完了が、他の人のタスクの開始条件になっていることも多くあります。タスクの状況を連携することで、チーム全体の流れがスムーズになり、共同で目標を達成しやすくなります。
- 依頼者への配慮: 依頼されたタスクの進捗を定期的に共有することで、依頼者は安心できます。これは、依頼者への配慮を示す行為であり、丁寧な仕事の進め方として評価されます。
タスク管理を連携に活かす具体的なステップ
個人のタスク管理の基本を押さえた上で、それをどのようにチームや関係者との連携に活かせばよいか、具体的なステップを見ていきましょう。
ステップ1:タスクを明確に定義し、可視化する
依頼された仕事や自分でやるべきこと(例えば、会議の資料作成、〇〇機能の調査、△△さんへの確認依頼など)を、具体的な「タスク」として定義します。そして、それをリストアップして可視化します。
多くの職場で使われているタスク管理ツール(Trello, Asana, Jiraなど)や、シンプルなToDoリスト、スプレッドシートなど、自分が使いやすいツールを活用しましょう。タスクには以下の要素を含めると、より効果的です。
- タスク名: 具体的に何をするのかが分かる名前(例: 「〇〇機能の調査」ではなく「〇〇機能について公式ドキュメントを読み、調査結果をまとめる」)
- 期日: いつまでに完了させる必要があるか
- 担当者: (自分自身)
- 関連者: このタスクに関係する人、情報が必要な人
- タスクの状態: 未着手、進行中、完了、保留など
ステップ2:関連者とタスク情報を共有する
定義したタスクの中から、特に他のメンバーや他部署との連携が必要なタスクについて、情報を共有します。プロジェクト管理ツールやチームチャットツールなどを活用すると効果的です。
共有する内容は、タスクの「何を」「いつまでに」「誰が」行うのか、そして「このタスクの完了が誰にとって、または次に何をする上で必要か」といった点を含めると、周囲は状況を理解しやすくなります。
ステップ3:進捗状況を定期的に、または節目ごとに報告・共有する
タスクが進行したら、その状況を適切に報告します。報告の頻度やタイミングは、タスクの性質やチームのルールによりますが、一般的には以下のようなタイミングで共有すると良いでしょう。
- タスク着手時: 「〇〇のタスクに着手しました」
- 重要な進捗があった時: 「〇〇の部分が完了しました」「△△の点が確認できました」
- 期日が近づいてきた時
- 遅延が見込まれる時: 後述の「困った時の連携」が特に重要です。
- タスク完了時: 「〇〇のタスクが完了しました。結果は△△です。」
ITエンジニアの場合、開発タスクであれば、プルリクエストの作成時、レビュー依頼時、マージ時などが報告の節目になるでしょう。非技術職との連携が必要なタスクであれば、中間成果物の提出時などが考えられます。
ステップ4:タスクに関する不明点や懸念点を早期に相談・確認する
タスクを進める上で分からないことや、一人では判断できないこと、期日内に完了が難しそうな懸念点などが出てきた場合は、抱え込まずに早期に相談・確認することが重要です。
- 「〇〇のタスクについて、△△の点で迷っています。方向性についてご意見をいただけますでしょうか。」
- 「このペースだと期日までに完了が難しいかもしれません。一部の要件を調整するか、他の方にサポートをお願いすることは可能でしょうか。」
このように具体的に状況を伝えて相談することで、問題が大きくなる前に解決策を見つけやすくなります。これも信頼されるための重要な報連相の一つです。チャットで相談する場合でも、状況を整理して簡潔に伝える工夫が求められます。
非技術職とのタスク連携における配慮
特にITエンジニアが非技術職と連携する場合、タスクの内容や進捗報告の際に専門用語を避け、相手に分かりやすい言葉で伝える配慮が必要です。「技術的な話を分かりやすく伝えるコツ」とも関連しますが、タスク管理においても同様です。
- タスクの目的や背景を共有する: なぜそのタスクが必要なのかを伝えることで、相手はタスクの重要性を理解しやすくなります。
- 専門用語を避けるか、平易に説明する: 「API連携」「デプロイ」といった言葉は、必要であれば簡単な言葉で言い換えるか、補足説明を加えます。
- 期待する成果物を具体的に伝える: 「〇〇のデータをご提供いただけますか?」「△△の画面のフィードバックをお願いします」など、相手にしてほしいこと、自分が必要なものを具体的に伝えます。
実践のポイント
- まずは小さなタスクから始める: 全てのタスクを完璧に管理しようとせず、まずは今日やるべきこと、今週やるべきことなど、小さな範囲からタスク管理と共有を始めてみましょう。
- ツールの使い方をマスターする: チームで特定のタスク管理ツールを使っている場合は、その基本的な使い方(タスク作成、状態変更、コメント投稿、担当者アサインなど)を覚えることから始めます。
- 報告を習慣化する: 日々の短い朝会や夕会、あるいはチームチャットでの簡単な進捗報告など、報告の機会を捉えて定期的に共有する習慣をつけましょう。
まとめ
タスク管理は、自分の仕事を整理するだけでなく、周囲との連携を円滑にし、職場の信頼関係を築くための強力なツールです。タスクを明確にし、関係者と共有し、適切なタイミングで進捗を報告・相談すること。これらの基本的な行動を実践することで、あなたは「安心して仕事を任せられる人」「チームに貢献してくれる人」として、周囲からの信頼を着実に獲得していくことができるでしょう。
今日から、あなたのタスクを少しだけ意識して可視化し、関わる人との共有を始めてみてはいかがでしょうか。