職場で信頼される 簡単な確認の仕方の基本
新入社員や若手社員の皆さんにとって、職場で円滑なコミュニケーションを取り、信頼される存在になることは重要な目標の一つかと思います。様々なコミュニケーションスキルの中でも、「簡単な確認」は、日々の業務を正確に進め、後々の手戻りをなくすために非常に基本的ながらも重要なスキルです。
特に、情報の伝達ミスや認識のズレがプロジェクトの遅延や人間関係の摩擦につながりやすいビジネス環境では、適切なタイミングで「これで合っていますか」「この理解で問題ありませんか」といった簡単な確認を行うことが、自分自身だけでなくチーム全体の効率と信頼性を高めることにつながります。
この確認は、いわゆる「報連相」や詳細な「質問」ほど構える必要はありません。文字通り、目の前のことや直近の理解について、ちょっと立ち止まって相手と共通認識を持つための行動です。簡単な確認の基本を身につけることが、職場の良い関係づくりへの第一歩となります。
なぜ簡単な確認が職場で重要なのか
簡単な確認は、主に以下の点で職場の人間関係と業務遂行において重要な役割を果たします。
- 認識のズレを防ぐ: 仕事の指示、依頼、進捗状況、専門用語の解釈など、あらゆる場面で人はそれぞれ異なる背景や知識を持っています。簡単な確認を挟むことで、「自分はこう理解したが、相手も同じように理解しているか」を確認できます。これにより、後になって大きな認識のズレが発覚し、手戻りやトラブルが発生するリスクを減らすことができます。
- 手戻りを削減し効率を高める: 初期段階での小さな疑問や不明点をそのままにして作業を進めると、後になって大きな間違いに繋がり、最初からやり直すことになりかねません。早い段階で簡単な確認を行うことで、無駄な作業を防ぎ、全体の効率を高めることができます。これは、特にスピード感が求められるプロジェクトにおいて顕著な効果を発揮します。
- 信頼関係を築く: 曖昧なまま話を進めず、不明点を誠実に確認する姿勢は、相手に「この人は真剣に話を聞いている」「正確に物事を進めようとしている」という印象を与えます。これにより、相手からの信頼を得やすくなります。また、確認を通じてコミュニケーションが活性化し、よりオープンな関係性を築く助けにもなります。
- 自分で考える力を養う: 確認は単に答えを聞くことではありません。一度自分なりに考え、仮説を持った上で「自分の考えは正しいか」と問いかける行為です。このプロセスを繰り返すことで、自分で問題を設定し、解決策を考える力が自然と養われます。
確認の目的を明確にする
簡単な確認を行う前に、「なぜ今、何を確認したいのか」という目的を自分の中で整理することが重要です。確認の目的は様々ですが、代表的なものは以下の通りです。
- 事実の確認: 伝えられた情報(日付、時間、場所、数値など)が正確であるか。
- 理解度の確認: 指示や説明の内容を自分が正しく理解できているか。
- 共通認識の確認: 特定の用語や概念について、自分と相手の間で同じ意味で捉えているか。
- 次のアクションの確認: 次に取るべき行動、担当者、期日などが明確であるか。
- 進捗状況の確認: 特定のタスクがどこまで進んでいるか、何か問題はないか。
目的が明確であれば、確認する内容を簡潔に、かつ的確に相手に伝えることができます。
いつ、誰に、どうやって確認するか
確認は、状況に応じて適切なタイミング、相手、方法を選ぶ必要があります。
いつ確認するか
- 指示や説明を受けた直後: 内容を自分なりに整理した後、「〇〇ということで理解しましたが、合っていますでしょうか」のように確認します。時間が経つと記憶が曖昧になる可能性があります。
- 作業の節目や中間報告時: タスクをある程度進めた段階で、「ここまでは〇〇という方法で進めていますが、問題ないか確認させてください」と報告を兼ねて確認します。軌道修正が必要な場合に早い段階で対応できます。
- チャットやメールでのやり取りの途中: 長文になったり、複数の論点が含まれるやり取りの場合、「ここまでの内容で、特に〇〇についてはこの認識で次のステップに進んで良いでしょうか」のように、要所要所で合意を確認します。
- 不明点が出てきたとき: 自分で調べても分からなかった点や判断に迷う点が出てきたら、抱え込まず早めに確認します。
誰に確認するか
基本的には、指示を出した人、情報を提供した人、またはそのタスクの責任者に確認します。内容によっては、関連する他のメンバーや先輩に相談として確認することもあります。確認の相手を選ぶ際も、「誰に聞けば最も正確な情報が得られるか」「誰がその決定権を持っているか」を考えるとスムーズです。
どうやって確認するか(対面、チャット、オンラインなど)
確認する内容の緊急度や複雑さ、相手の状況に合わせて最適な方法を選びます。
- 対面またはオンライン会議: 複雑な内容、すぐに回答が必要な場合、複数の関係者間で共通認識を持ちたい場合に適しています。相手の表情や声のトーンからも意図を読み取りやすいため、認識のズレをより深く確認できます。事前に確認したい点を簡単にまとめておくと効率的です。
- チャットツール: 緊急ではないが、テキストで記録を残しておきたい簡単な確認に適しています。「〇〇の件ですが、この理解で作業を進めて大丈夫でしょうか?」のように、短く要点を伝えます。相手がすぐに反応できない場合でも、都合の良い時に確認してもらえます。ただし、込み入った話はチャットだけでは誤解を生む可能性があるため、対面やオンラインでの会話に切り替える判断も重要です。
- メール: 記録性を重視する場合や、確認事項が複数ある場合、相手がすぐにチャットを確認できない場合に用います。「〇〇の件に関する確認事項」など、件名を分かりやすくし、本文で確認したい点を箇条書きなどで簡潔にまとめます。
確認の具体的なフレーズ例
確認の際は、曖昧な表現を避け、具体的に何を理解しているか、何が不明かを伝えます。
- 「〇〇という指示について、Aという手順でBという結果を目指す、という理解で合っていますでしょうか?」
- 「仕様書に記載されている△△という機能について、□□という動きをする、という認識で実装を進めても問題ありませんでしょうか?」
- 「先ほどの会議で決定した件、私のメモでは来週火曜日が期日となっていますが、念のため確認させてください。」
- 「このタスクで使うデータ形式について、Excelファイル形式と伺いましたが、CSV形式でも大丈夫でしょうか?」
- 「チャットでご共有いただいた件、承知いたしました。今後の流れとして、まずは私が〇〇を作成し、XXさんにレビューをお願いする、という認識でよろしいでしょうか?」
「〜で合っていますか」「〜でよろしいでしょうか」「〜という認識で進めて大丈夫ですか」といったクッション言葉を挟むことで、丁寧な印象を与えられます。
確認する際の注意点
簡単な確認を効果的に行うためには、いくつかの注意点があります。
自分で調べた上で確認する
すぐに質問するのではなく、まずは自分で考えたり、関連資料(仕様書、過去の議事録、チャット履歴など)を調べたりする努力が大切です。自分で調べても分からなかった点、複数の解釈ができる点、判断に迷う点など、「自分で考えたけれど、それでも確認が必要なこと」について確認することで、相手も「きちんと考えているな」と評価しやすくなります。
相手への配慮
相手の状況(忙しさ、会議中かなど)を考慮して、確認するタイミングや方法を選びます。急ぎでない確認であれば、相手が落ち着いていそうな時間帯を狙ったり、「お時間のある時で構いませんので」といった一言を添えたりすると良いでしょう。簡潔に要点をまとめて伝えることで、相手の時間を不必要に奪わない配慮も重要です。
確認した内容の記録と共有
口頭で確認した場合でも、重要な内容であれば後でチャットやメールで簡単な議事録を送るなどして、確認した内容を記録しておくとより確実です。これにより、後々のトラブルを防ぐだけでなく、関係者間で共通認識を共有する助けにもなります。特に、決定事項や期日に関わる確認は、記録を残すことを推奨します。
まとめ:簡単な確認は信頼構築の第一歩
職場で簡単な確認を適切に行うスキルは、業務の正確性を高めるだけでなく、周囲からの信頼を得る上でも非常に重要です。
「こんな簡単なことを聞いて大丈夫かな」「自分で調べればわかることかもしれない」とためらうこともあるかもしれません。しかし、分からないまま進めて大きな間違いを犯すことの方が、結果的に大きな迷惑をかけることになります。
最初から完璧にできる必要はありません。まずは「あれ?」「これで本当に大丈夫かな?」と感じたときに、自分で少し考えた上で、勇気を出して「確認させてください」と声をかけてみることから始めてみてください。
簡単な確認を日々の習慣にすることで、認識のズレによるストレスを減らし、スムーズな連携を実現し、職場で着実に信頼を積み重ねていくことができるでしょう。