職場の良い関係づくり入門

職場で信頼される 分からないことを伝える基本

Tags: コミュニケーション, 信頼関係, 報連相, 質問力, 若手社員

職場で信頼される 分からないことを伝える基本

新入社員や若手社員として、新しい環境で仕事を進める中で、「分からないこと」に直面するのは自然なことです。しかし、「分からない」と言うことにためらいを感じ、つい分かったふりをしてしまったり、自分で抱え込んでしまったりする方もいるかもしれません。

本記事では、職場で「分からない」ことを正直に伝えることの重要性と、それをどのように伝えれば周囲から信頼を得られるのかについて解説します。

「分からない」を伝えられないことの落とし穴

「分からない」と伝えるのが怖い、恥ずかしいと感じる背景には、「無知だと思われたくない」「能力がないと評価されたくない」といった不安があるかもしれません。しかし、分からないことをそのままにしておくことには、多くのリスクが伴います。

問題が手戻りや失敗につながる

最も大きなリスクは、仕事の品質に影響が出ることです。不明確な点を放置したまま作業を進めると、後になって大きな手戻りが発生したり、期待されていた成果と異なるものになったりする可能性が高まります。特にシステム開発などでは、仕様の誤解一つがプロジェクト全体に影響を及ぼすこともあります。これは自分自身の評価を下げるだけでなく、チームや会社の損失にもつながります。

周囲からの信頼を失う可能性がある

分かったふりをしていたことが後で露見した場合、周囲からの信頼を失う可能性があります。「なぜもっと早く言わなかったのか」「隠していたのではないか」と思われてしまうかもしれません。信頼関係は、正直なコミュニケーションによって築かれます。

自身の成長が阻害される

分からないことを質問せず自分で解決できないままでいると、新しい知識やスキルを習得する機会を逃してしまいます。一時的な恥ずかしさを避ける代わりに、長期的な自身の成長を妨げることになります。

なぜ「分からない」を伝えるべきなのか

「分からない」ことを正直に伝える行為は、ネガティブなものではなく、むしろ積極的に行うべき建設的な行動です。

問題の早期発見と解決

分からない点をその場で明確にすることで、後々の手戻りや大きな失敗を防ぐことができます。これは、問題が小さいうちに芽を摘むことにつながり、プロジェクトを効率的に進める上で非常に重要です。

周囲からの信頼獲得

正直に「ここが分かりません」「これを教えていただけますか」と伝えることは、「私は正確に仕事を進めたい」「チームに迷惑をかけたくない」という真摯な姿勢を示すことになります。これは、周囲からの信頼を得る上で非常に効果的です。また、助けを求めることは、チームメンバーとのコミュニケーションを深めるきっかけにもなります。

自身の学びと成長の促進

分からないことを積極的に質問し、教えてもらうことで、知識やスキルを効率的に身につけることができます。教えてもらった内容を記録し、次に活かすことで、着実に成長していくことができます。

チーム全体の効率向上

一人の「分からない」が解消されることで、全体の認識齟齬を防ぎ、スムーズな連携を促進します。質問は、他のメンバーにとっても学びの機会となることもあります。

「分からない」の効果的な伝え方

ただ単に「分かりません」と言うだけでは、相手を困惑させてしまうこともあります。信頼を得るためには、いくつかのポイントを押さえて伝えることが大切です。

1. 分からない点を具体的にする

何が、どの部分が分からないのかを具体的に整理しましょう。「何もかも分かりません」ではなく、「〇〇の資料の、この部分に書かれている△△という用語の意味が理解できません」「このタスクを進める上で、□□のツールをどのように使えば良いか分かりません」のように、具体的な疑問点を明確にすることが重要です。

2. 自分なりに調べたことや考えたことを添える

質問する前に、一度自分なりに調べたり、考えてみたりするプロセスは非常に大切です。「何も考えずに聞いている」という印象を与えないためです。「〜について自分なりに調べたのですが、△△ということでしょうか?それとも〇〇ですか?」「このエラーについて、ログを確認し、ドキュメントのこの部分も読んだのですが、原因が特定できませんでした。次はどのような切り口で調査すれば良いでしょうか?」のように、自分の努力や思考プロセスを伝えることで、教えてもらう側も教えやすくなります。

3. 質問の目的や背景を共有する

なぜその情報が必要なのか、その疑問を解消することで何ができるようになるのか、といった質問の背景を共有しましょう。「この手順の意味が分からないのですが、この後の〇〇の作業を進めるために必要なので教えていただけますでしょうか」のように伝えることで、相手は質問の重要性を理解し、より的確なアドバイスをしやすくなります。

4. 相手の状況に配慮する

質問したい相手が忙しそうにしている場合は、話しかけるタイミングを見計らったり、チャットで「今、少しお時間よろしいでしょうか?〜について教えていただきたいことがあるのですが」のように、事前に確認したりする配慮も重要です。対面での質問が難しい場合は、チャットや非同期コミュニケーションツールを活用して、質問内容を整理して伝えることも有効です。

5. 教えてもらった内容を確認し、感謝を伝える

教えてもらった内容を復唱して理解度を確認したり、「〜ということですね、ありがとうございます。助かります」のように感謝の言葉を伝えたりすることも忘れずに行いましょう。これにより、教えてくれた相手は「理解してもらえた」「役に立てた」と感じ、次も快く質問に答えてくれるようになります。

まとめ

職場で「分からない」ことを正直に、そして効果的に伝えることは、新入社員や若手社員が信頼される関係を築くための重要なスキルの一つです。分からないことを隠すことは、結果的に自分自身と周囲に負担をかけることになります。

一方で、「分からない」ことを具体的にし、自分なりの努力を添え、相手に配慮しながら伝えることは、あなたの真摯さや成長意欲を示す行動であり、周囲からの信頼獲得に繋がります。

最初は勇気がいるかもしれませんが、一歩踏み出して「分からない」を適切に伝えてみてください。それが、あなたの成長と、職場の良好な人間関係を築くための確かな一歩となるはずです。